進学塾nend

Nend Community News 2024-5月号 電子版

   

「今月の言葉」

その水になじめない魚だけが、その水について考え続ける

───anonymous

トピック「蛍光マーカーは意味がない!?」

 「ノートに書き写す、蛍光マーカーで線を引くといった学習方法はいずれも効果は低い」とするネット記事がSNSを賑わせました。
 「科学的根拠に基づく最高の勉強法」の著者であり、米国内科専門医の安川康介氏によると、文章をそのままノートに書き写した学生の学習効果は、ただ文章を読んだ学生と変わらないそうです。確かに、ノートを書き写す行為は「勉強した気」になりますし達成感もあります。しかし、文章を記憶したり理解したりしなくてもできるうえ、脳に負荷がかからないため、学習効果は低いと述べています。
 これに対し、読んだ内容を自分の言葉でまとめ要約した場合の学習効果は、そのまま書き写す場合より高いとしています。しかし、要約するには学習内容についての基礎知識と、どこが重要でどれくらいの情報をどれくらいの文章にまとめるかといった能力が必要であり、誰にでもできるというものではないため、訓練が必要だとしています。
 また、蛍光マーカーでマークすることや、下線・傍線を引きながら読むという学習方法ではいずれも学習効果は見られず、下線・傍線を引きながら推論問題に取り組んだ学生は、普通に読んだ学生よりもむしろ点数が低くなるという結果がみられたそうです。

 私個人の意見では、蛍光マーカーを引く方法は有効だと感じています。教科書のように必要かつ十分な記述で構成された書籍(要は無駄な記述が一切ないもの)ではあまり必要ありませんが、新書や論説文を読むときに、文章の中の重要な部分―特に問題提起とこれに呼応する部分(「なぜA…」「…Bだから」、「Xとは…」「…Yこと」)をマークすることで、要約と似た効果を生むからです。しかしながら、これも要約と同様に本当に大事な部分のみを選び出してマークするのは相応の訓練が必要かもしれません。

 ここまでに述べたことと反するかもしれませんが、効果の大小のみで学習は測れません。どれだけ効果が少ないといわれても私は蛍光マーカーを使い続けますし、以前教えていた生徒で、非常に丁寧なまとめノートを作り、実際に良い成績を修めていた子もいました。学習方法についての書籍は多く出ていますが、そういうビジネスだと認識して盲信せずに、自分なりの学習方法を確立することが大切だと思います。

「ねんちる」第195段

 Rちゃんが大学に合格したとの報告に来てくれた。
 Rちゃんは勉強については中学時代からかなり不器用で、定期試験の結果も正直良くなかった。でも持ち前の愛らしさと空手で培った努力と礼節で成績は良く、志望する準トップ校に苦心して合格した。
 しかし、高校では友人関係で問題に巻き込まれ、間に入った先生への不信などもあって一時はまともに登校できなくなるなどかなり辛い思いをしたという。実際、このようなトラブルを抱えるとそのあと大きく人生につまずいて誤った道へと進む子が多いので、何もできないままずいぶん心配させられた。しかし、家庭での理解と支えもあって、そこから頑張って一般入試をへて中堅私大の建築科へと合格し、中学時代から目標にしていた建築士への道へと進み始めた。
 「ご心配をおかけしてすみません」とRちゃん。本当に良かったよ。

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