Nend Community News 2023-12月号 電子版
今月の言葉
絶対に失敗しないと言いきれることが、自信ではない。 やれることは全部やったと言いきれることが、自信である。
───森博嗣
トピック『間違った勉強の仕方』
勉強の仕方がわかっていない、という声がご家庭から聞かれることがあります。スクールでも(この子は勉強の仕方が身についていないな)と感じる子が確かにいます。
一番多いのが「自ら何も考えない子」です。例題などでやり方、解き方を説明したあと、いざ問題を解かせてみようとすると、手が動かない子がいます。おそらくはこれまでに指示通りにしようとして何度か間違い、その都度叱られたためでしょう。自分に自信が持てないため行動できないか、または間違えること自体を避けようとしているパターンです。間違えた答えをこっそり書き直したり、まだすべてを終えていないのに終わったふりをしてノートを閉じたり、そのくせ分不相応に宿題がよくできているのは答えを写しているからでしょうか。勉強の目的が「自らの能力を伸ばすこと」ではなく「その場しのぎで叱られないこと」であるため、正しい勉強を身につけさせるには非常に苦労します。
また別のパターンとして、「自分ができる範囲でしか勉強しない」というのがあります。難しい問題は一切手をつけず、できない問題や理解できない問題は早々とあきらめてしまう子です。難しい問題はやる気をくじきますし、自信も失われます。そのため、自分が解ける易しい問題から先に進もうとしません。自己満足を高めるために繰り返し簡単な問題だけを勉強するので、はたから見るとよく勉強しているようにも見えますし、テストの点数に期待が持てるように思えますが、実際のテストで思ったより点数が取れないのはこのタイプです。
先ほどのタイプとは逆で、自分の興味のあるものしか勉強しないタイプの子もいます。興味が偏っているため、テスト範囲の全体を勉強するのではなく、特定の問題や知識だけをひたすら追いかけるのみです。難しい問題を解くことに集中し、簡単な問題や基礎的な問題をおろそかにするため、すべての教科について点数が低く、本人が得意だと言う教科についてもぱっとしない点数にしかなりません。親としても何とかやる気を出させるために「あなたは数学が得意だから」とほめて伸ばそうとした結果、勘違いして違う方向へと進んでしまったようなお子さんです。
いかがですか。自分の勉強の仕方が間違っていないか、振り返ってみましょう。
「ねんちる」第190段
ひと昔前と比べて、最近は不登校や学習に障害を抱える子が多くなっている。いや、昔から多くいたのだろう。それがかつては「精神がたるんでいる」だの「親の教育が悪い」だのと古い価値観で片づけられていたのがようやく社会的な問題として認知されるようになってきたのであろう。様々な問題を抱える子であっても様々なかたちで進学し、学習できる環境が増えてきた。
かくいう私自身、社会人として働きながら通信制の大学で心理学を学んでおり、現在3年生になる。この夏は夏期講習の合間を縫って大学へスクーリングに通い、いくつかの講習を受けて単位を取得した。勉強することは楽しく、講義を受けることで改めて子どもたちがどのような気持ちで授業を受けているかを知ることができる。特にほめられることのうれしさをだ。やはり勉強の楽しさを学ばせるにはほめるに限る。