進学塾nend

Nend Community News 2023-10月号 電子版

   

今月の言葉

手を抜けば楽になる、手を掛ければ楽しくなる

───anonymous

トピック『質問しよう――主体性を持った学習』

 友人Oが外国の大使を招いて講演会を執り行ったとき、事前に参加者(ほとんどは40代以上の経営者または会社役員である)に「お話を聞かせていただくうえで、反応がないのが一番失礼なことです。質疑応答では必ず質問をしましょう」と伝えておいた。しかし、実際の講演で質疑応答の時間になったとき、50名を超える参加者の誰ひとり質問をしなかった。憤慨するOに弁明がましく参加者のひとりはこう言った。「質問しろと言われても困るんですよね。何を質問したらいいか、逆に教えてください」

 このような光景は日本ではよくみられます。目立つことを避けるため、講義を長引かせないようにするため、講義内容に興味がないため、くだらない質問と思われることで自分の評価を下げないようにするためなどいくつか原因が考えられますが、一番は主体性の欠如ではないでしょうか。つまり、その講義で自分はどこまで理解し、どこの理解が難しかったか、教えてもらった内容を実践しようとしたときに何が必要になるかといったことを自分に置き換えて考えられていないことにあります。

 日々のお子さん相手の授業の中でもこのことはよくみられます。授業の中で説明できなかった難しい問題をあとで質問しに来る子もいませんし、間違えた問題について聞きに来る子もほとんどいません。質問はありませんかと問いかけて返事がないため、では実際にやってみましょうと始めると何も解けない子が何人もいます。彼らは問題に興味がなく、自分がどこまで理解すればよいのか把握しておらず、自分が問題を解くことをすら想像していないのです。

 勉強というのは①一通り知識を得たあと②定着のために反復練習をし、その後③テストをして④覚えられていないものは覚えなおし、文法や計算などスキルが身についていないものは再び練習をして自然に行えるようにする、ということの繰り返しです。勉強ができないお子さんは②または③の時点で勉強を終了してしまっています。勉強ができるお子さんは、①の時点で③を想定して質問をします。そしてテストの結果自分の苦手な部分がわかったら、再度④の段階で質問をして理解を確かなものにします。

 このように主体性を持って勉強すると、質問をすることがいかに大切かがわかるのではないでしょうか。

「ねんちる」第188段

 先日、この春から大学生になったRくんが顔を見せに来てくれた。横浜サイエンスフロンティアに入学したRくんは高校では評定平均が3.0くらいで全然勉強しなかったと照れ笑いしたが、最終的にはMARCHレベルの滑り止めは全部合格して東京都立大に入学した。本当に素晴らしいことだ。

 スクールには小学校5年生から通い始め、競争心が強くて中学校ではいかに点数をとるか、いかに難しい問題を攻略するかに命を燃やしていた。卓球部に所属しながら公式テニスのスクールに通い、高校受験では横浜サイエンスと東京高専と平塚学園を3つ併願してすべて合格して横浜サイエンスに入学するなどとても優秀な子だった。今は大学で生命科学を学びながら、趣味のカメラを生かして将来は富士フィルムに入社して医療分野で活躍したいとのこと。きっと叶えるだろうな。がんばってほしい。

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