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Nend Community News 2023-6月号 電子版

   

「今月の言葉」

他人にイライラするのは、自分はできるのになぜこの人はやらないのかと感じるから。それはあなたが人より得意なことなんです

───anonymous

トピック「問題行動をとる原因と行動分析学」

子どもが宿題をしない場合、どのような原因があると考えますか。
「だらしない」「勉強を軽んじている」など色々な意見があるでしょう。しかし、これらは子どもが宿題をしないことを別の言葉で言い換えたにすぎません。これを循環論といい、『なぜ宿題をしないのか』→『だらしないから』→『なぜその子をだらしないと考えるのか』→『宿題をしないから』では堂々巡りになってしまいます。

循環論は、『どうして不登校なのか』→『心に悩みを抱えているから』→『なぜ悩みを抱えていると考えるのか』→『いつまでも学校に行けないから』のように、問題の原因を子どもの内面に求めることによって起こります。たとえわが子であっても人の内面はわからないものです。わからないからこそ、「だらしない」「悩みを抱えている」のようなわかりやすいレッテルを貼って問題解決の糸口を見つけたように思ってしまうのです。しかし、これは起こっている問題を別の言葉で言い換えただけですから、問題解決には役に立ちません。それでは、どのように考えたらいいのでしょうか。

私たちは意識する・しないに関わらず、自分にとって好ましい結果が得られることや、嫌なことが避けられる行動を繰り返し選択します。たとえば、あいさつをしてほめられた子は、あいさつをするという行動が増えていきます。これを「強化」といいます。ここで大切なのは、この子があいさつをする理由はけっして『礼儀正しいから』『優しい子だから』ではありません。『人からほめられる』という結果がその行動を「強化」したのです。

このように、行動の原因をその人の内面というブラックボックスに求めるのではなく、行動によって得られた「結果」にこそ、原因が含まれるという考え方を「行動分析学」といいます。
子どもが宿題をしない場合、行動分析学ではその子は宿題をしないという行動が強化されている、すなわち、宿題をしないことで好ましい結果を得ていると考えます。たとえば、宿題をしないと母親が「やりなさいよ」といつも以上に構ってくれたり手伝ってくれたり、普段接点のない先生が、励ましたり叱咤したりと自分に目を向けてくれるようになるなどです。こう考えると原因が明確になりますね。

行動分析学は奥田健次氏の名著「メリットの法則 (集英社新書)」に詳しいです。ぜひご一読ください。

「ねんちる」第184段

子どもたちと話していると新鮮な驚きを得たり、うならせられたりすることが多い。
先日、授業の中で「第一次産業」「第二次産業」「第三次産業」について説明することがあり、それぞれ「農林水産業」「鉱工業・建設業」「商業・サービス業」をさす言葉であるが、それでは『お百姓さん』は第何次産業でしょうかと尋ねると、「おひゃくしょうさんって何」と口々に声をあげる。今はもう使わない言葉なのかな、ジェネレーション・ギャップだねというと、「ジェネレーション・ギャップって何」と、またかしましく声をあげる。おかしくて参ってしまい、『まいっちんぐ』だというと、「それは聞いたことがある」

以前付き合っていた彼女と二人幸せな時間を過ごしたあと「幸せすぎて堕落してしまいそう」と言ったら「だらくって何」と聞き返してきたことも、今となってはいい思い出だ。

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