Nend Community News 2023-5月号 電子版
2023/09/11
「今月の言葉」
自分はそんなに頑張ってるつもりもないのに、周りが褒めてくれる仕事が、おそらく皆さんの天職だと思う
───岩田聡(任天堂)
トピック「新学習指導要領でどう変わったか」
学習指導要領が改訂され、〈社会に開かれた教育課程〉の実現を掲げる「新学習指導要領」が中学校では令和3年度から実施されています。なかでも一番の関心事は学習評価の変更についてではないでしょうか。
旧学習指導要領では、評価の観点を「関心・意欲・態度」「思考・判断・表現」「技能」「知識・理解」の4項目として、それぞれABCの3段階で評価し、これらを総合して各教科5段階の成績評価がつけられました。
このうち「関心・意欲・態度」をのぞく3項目については定期試験や実技試験で数量的に評価できますが、「関心・意欲・態度」はその評価が難しく、教員の「好き・嫌い」に左右されることが多くありました。
たとえば、おとなしく引っ込み思案な子は「積極性が足りない」、字がきたない子は「真剣さに欠ける」などのように評価が下げられ、反対に、明るく発言の多い子や、教員と仲のよい子は「意欲的」、吹奏楽部や美術部に入っている子はそれぞれ音楽や美術など特定の科目について「関心が高い」として評価が上がるなど、評価のつけ方にたびたび疑問が呈されてきました。
これらをふまえ、「新学習指導要領」では、評価の観点を「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」と3項目に整理し、「関心・意欲・態度」は削除されました。これは、子どもたち一人ひとりの発達の段階や個性を尊重し、発言の有無や積極性、字のきれいさなどは個性の範疇にあるものとして成績評価に反映しないということです。これまでの評価のしかたに文科省がNOを示したものといえます。
では、新しい項目となった「主体的に学習に取り組む態度」とはどういうものでしょうか。文科省はこれを「粘り強い取り組みを行う中で、自らの学習を調整しようとする姿」としています。これまでの〈教員受けする個性かどうか〉ではなく、〈個人の成長しようとする姿勢〉に重点を置いたかたちになります。
とはいえ、どのようにも解釈できるあいまいな文言ですから、教育現場でただちに評価のしかたが改善されることはないと思われます。スクールのお子さんたちが通う中学校でも、あいかわらず教員受けする子のほうが成績が高い傾向にあります。残念ながらこれまで通り授業態度や発言に気を配り、教員と仲良くすることを心がけたほうがよいかもしれません。
引用元:文部科学省 https://www.mext.go.jp/content/20202012-mxt_kyoiku01-100002605_1.pdf
トピック「ねんちる」vol.183
地元のスーパーで「先生」という声。振り返るとスーパーのエプロンをつけたH君。うわぁ久しぶり、何してた。
H君はちょっとおバカで愛されキャラで、お母さんは一人っ子のH君の入試を心配そうに見守っていた。藤沢の中堅校を受けたのだけど、残念ながら合格にいたらず滑り止めの私立に。お母さんが最後まで感謝を伝えてくれたのは本当に切ない思いがしたものだ。
「先生がちゃんと勉強がんばって進学することが最大の親孝行だと言ってくれたので、勉強がんばりました。周りの友達にもめぐまれたと思います」とH君。今では地元の県名を冠する有名大学に通っているそう。
そういえば、スクールの壁紙を貼りかえる際に、みんなで壁に落書きをしてその上から壁紙を貼ってもらったっけ。僕はH君の似顔絵を壁に描いたんだよ。覚えているかな。