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Nend Community News 2022-10月号 電子版

      2023/09/11

「今月の言葉」

「心に残る幕の内弁当はない」あれもこれもと詰め込みすぎると、結局は個性のないものとなってしまい印象が薄れてしまう。

───anonymous

トピック「親業――子どもにかける言葉(後編)」

子どもからの悩みや愚痴、不満といった感情のメッセージに応じるのに一番よい方法は、自分の考えや判断、感情を相手に伝えずに、子どもにその考え、判断、感情を表現するよう伝える〈扉を開ける言葉〉を使う方法です。
「そうなんだ」「本当なの」「それはまあ」「ふうん」など、こちらから意見をはっきり言わないで、相手に話をさせる言葉を使うのです。
さらに子どもに話をさせるには「あなたはどう思うの」「どういうことかな。もう少し聞かせて」「あなたも言いたいことあるんじゃない」のように促します。

このように、子どもが話し続けるように、子どもに話のボールを持たせておくことが大切です。〈扉を開ける言葉〉は子どもに対して「どう思うか表す権利があなたにある」「意見や感情を持った一人の人間として、あなたを尊重するよ」「あなたが何を考えているか、本当に知りたいの」「私はあなたに関心がある」というメッセージを送り、受容されていること、一人の人間として尊重されていることを子どもに伝えます。

子どもの心をひき出すために、さらによい方法があります。相手の発言内容を読み取り、「あなたはこのように感じているのね」とその解釈を本人に投げ返す〈能動的な聞き方〉という方法です。次の事例を見てみましょう。

子「勉強、やる気がでないの」
親「まあ。やる気がでなくなっちゃったの」〈能動的な聞き方〉
子「うん、なんか点数も上がらないし」
親「点数が上がらないから、がっかりしてるのね」〈能動的な聞き方〉
子「それもあるし」
親「あなたはどう思うの」〈扉を開ける言葉〉
子「やんなきゃとは思ってるけど」
親「やらなくちゃいけないとわかってるけど、点数があがらないからやる気がでないのね」〈能動的な聞き方〉
・・・・・・

 能動的な言葉は単に子どもの言ったことをおうむ返しするのではありません。あなたの伝えようとしていることはこういうことかしら、間違っていないかしらと確認する言葉です。子どもは自分の伝えたいことがちゃんと届いていることがわかり、自分が受容されていることを感じて、自ら感情や意見を述べることができるようになります。子どもにかける言葉として、意識されてはいかがでしょうか。
(参考:トマス・ゴードン著「親業」)

トピック「ねんちる」vol.176

先日、かつての教え子のY君と飲みに行った。Y君はこの春社会人になったばかりだが、今転職を考えているらしい。

Y君は中学・高校と野球部で、勉強に関してはとりわけ出来るほうではないものの、こつこつやりぬく根性をもっていた。高校ではまわりがどんどん進路を明確にしていく中でやりたいことが見つからず、部活動で打撲や捻挫のときにお世話になった柔道整復師の仕事に興味を持ってその道へと進んだ。しかし、実際に社会に出て働き始めると、現実は違ったようだ。
「今の環境に不満があるなら、自分を変えたほうが早い」Y君は資格を取ってから転職しようと、今の会社に勤めながら独学で勉強しているそうだ。

中学のときには塾をサボって叱られることもあったY君だが、今は自分のために自分から、自分ひとりで勉強を始めている。

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