Nend Community News 2022-11月号 電子版
2023/09/11
「今月の言葉」
底辺の両端は頂点
───anonymous
トピック「問題を解かない子どもたち」
問題を解かない子がいます。
さあ、問題を解いてみましょうというと、他の子たちがすぐに取りかかるのに対して、ワンテンポ遅れてシャーペンを手にします。しばらく顔を振って問題を探して、やっと解き始めるかと思ったら、まとめやポイント、公式を読み始めます。おやおや、シャーペンの芯がタイミングよくなくなったようです。芯を詰め替えて、ようやく解き始めます。えっと…ちがうな、などとつぶやきながら、ちょっと書いては、でもすぐに消してしまいます。もうすでに終わった子が話し始めると、それに乗っかっておしゃべりを始めてしまいます。残念。時間切れです。黒板に書いた答えをきれいに赤ペンで書き写して終了しました。
どうでしょうか。心当たりのあるお母さまはいらっしゃいますか。
彼らは勉強がもともと苦手で、すでに何度も叱られた子どもたちです。〈間違えると叱られる〉ことを学習したため〈叱られないためには問題を解かない〉ことを学習したのです。解くつもりがないので、事前の説明や指示も聞いていません。どうしても解かなければならない状況になったら、時間稼ぎをするか、隙を見て答えを写してしまいます。スクールの指導で一番困るのはこのタイプのお子さんです。
間違えるのは恥ずかしいことではありません。解いて間違えてくれたら、何が身についていないか、どこをどのように思い違いをしたのかがわかります。宿題でも授業でもどんどん間違えてほしい、むしろ、どんな間違いをしたのかが知りたいのです。
もちろん、単純知識問題では知らないと答えられない問題もあります。日本で2番目に高い山を知っていますか。知らないのにずっと問題を見ていても答えは出てきません。こういった問題は空欄のまま飛ばしてしまってもいいのです。
大切なのは、自分の力でどこまで解けるかを把握することです。間違えることを恐れて、叱られることを怖がって、何もしないことのほうが大問題です。勉強はあなた自身の「知らない」を「知ってる」に変えることなのです。問題を解かなければ何が分からないかが分からないままになってしまいます。
ボールを渡されたら、靴ひもを直すふりをしたり、ぶつぶつ言ってないで思い切り蹴ってみることです。どこに飛んでも構いません。勉強もこれと同じです。解くことが大事なのです。
トピック「ねんちる」vol.177
「先生はひいきしますよね」と言われたことがあります。どういう意味で言っているのか、失礼な質問だと思いましたが、ひいきをすることがあるかといえば、答えはイエスです。それは顔でも成績でもありません。優しい子を僕は大切にします。
子どもが見せる優しさは、大人のそれに見られるような打算や下心といったものが一切見られません。筆記用具を忘れた子にはすぐに声をかけて貸してあげたり、問題が分からない子には教えてあげたり、ノートを忘れた子には自分のノートを破って渡してあげたりします。してもらったほうは子どもですから、そういった優しさに気づかないのですが、そういったとき僕は代わりにお礼を言います。その子の優しさが報われますように。そして、こういうお子さんには僕は最大限の敬意を払って接します。
ひいきですよ。いけませんか。