進学塾nend

Nend Community News 2022-7月号 電子版

      2023/09/11

「今月の言葉」

「出来なくてもしょうがない」は終わってから思うことであって、途中にそれを思ったら絶対に達成出来ない。

───イチロー

トピック「愛着と子どもの発達」

3歳までの子どもの養育に愛着が大切だと言われます。愛着は子どもと養育者の間の情緒的な絆をいい、アタッチメントとも呼ばれます。

乳児期の愛着を測る方法に、ストレンジ・シチュエーション法があります。母親と子どもがいる部屋に見知らぬ人を入れ、替わりに母親が退室します。見知らぬ人が子どもに話しかけたりしたのち、母親が戻ってきます(実際はもう少し手順が複雑です)。母親との分離時や再開時の反応をもとに、①回避型、②安定型、③拒否型の3つに分類されます。

①回避型の子どもは母親との分離時に泣いたり混乱したりせず、再会時には親を避けようとするタイプです。親が子どもを抱こうとしても、自ら抱きつこうとはしません。回避型の子どもの親は、子どもの働きかけに対して、拒否的にふるまうことが多く、子どもが母親に近づくほど、母親は離れていくふるまいを見せます。回避型の親は子どもの行動を統制しようとすることが多いとされています。

②安定型の子どもは母親との分離時に泣いたり混乱したりしますが、再開時には積極的に親に対して身体的接触を求め、簡単になだめられます。安定型の親は、子どもの要求にタイミングよく応え、その行動が一貫しています。そのため、子どもは親の行動を予測することができ、親に対して強い信頼感を持ちます。

③拒否型の子どもは、親との分離時に強い混乱や不安を示し、再開時に強い身体的接触を求めます。一方で、母親に対して怒りをあらわし、激しく叩いたりします。拒否型の親は、子どもの要求に対して応えるときとそうでないときが一貫しておらず、応答のタイミングがずれるときが多いとされています。そのため、子どもは常に親の顔をうかがう必要があり、親への信頼感は弱くなります。

愛着は、児童期頃までの子どもの愛着スタイル(対人関係における、自己や他者への信頼態度)に影響があるとされていますが、青年期・成人期以降についての影響は薄いとされていますので、はっとされたお母さまも心配される必要はございません。しかし、親のふるまいが子どもに及ぼす影響については、考えさせられる部分が多いと思います。子どもにしっかりと親としての意見を伝えながらも、決して不機嫌にならず、子どもには常に一貫してわかりやすくありたいものです。

トピック「ねんちる」vol.173

感情で叱るのはよくない。
昔大手の塾にいた頃、新しい教室に移動になった。そこにD君という子がいて、休み時間に新聞を読んでいるという変わった子だった。毎回大量に鼻をかみ、ティッシュを全部机の下にほりこんで帰っていた。僕が他の先生に、なんで注意しないのと聞くと、そういうタイプの子だからと肩をすくめられた。

8月に模擬試験をやるから各自勉強するようにと話したところ、D君が「あ、すみません、オレ受けないんで」という。どうして?予定があるのと聞くと「あんなの無駄でしょ。意味ないし」「資本主義社会の経済的サクシュでしょ」そのあたりで僕は椅子を蹴り上げてD君を怒鳴りつけていた。その後、親から即電話でクレームがあり、D君は塾を辞めた。もう18年も前のことだ。
それから十数年たち、地元のコンビニで深夜に働くD君の姿を見かけた。

 - Nend Community News, 心理・教育