Nend Community News 2020-10月号 電子版
「今月の言葉」
人があなたから離れる時、無理に止めない事。あなたの将来は離れていく人の先にはありません。
───マリリン・モンロー
トピック「みんながすることをする幸せ」
ネットの掲示板に「中高生のときに彼氏・彼女と自転車の二人乗りをしたことないやつは、その後どれだけ成功したとしても、人生の負け組」なんて書き込みがあって、心の中でたくさん反論したあとで、枕に顔をうずめて泣いた。
多感な子ども時代に、みんながやっていることをやれないのは、その子の情緒形成にとても悪い影響を及ぼす。秋葉原で連続殺傷事件をおこした青年は、厳しい母親から、友人の家に遊びに行くことや男女交際を禁止され、テレビは「ドラえもん」「まんが日本昔ばなし」以外の番組を見ることを禁止されたという。本を買うにも何を買うかのチェックが入り、買ったら感想文を書かなければならなかった。
子ども時代にゲームやアニメを禁止された子は、大学生になってからこれらにのめりこむようになる。彼らは子ども時代の埋め合わせをしているのだが、子どものころに友だちとゲームの話題で盛り上がったり、わずかなお小遣いでグッズを集めたりといったきらきらした青春時代を横目で通り過ぎてきた彼らが、これを取り戻すことは難しい。どれだけお金や時間をつぎ込んでも手に入れられないもどかしさから、さらにのめりこむようになる。
スクールで預かっている子どもたちの中にも、高校生になるまでスマホはダメだと親に言われているという子がいる。高校生になってようやく彼らがスマホを手に入れると、中学生のときうらやましく思っていたゲームやSNSに平均的な子よりものめりこむ。もちろん、分別のつかない子どもに高級なスマホを買い与え、結果ネットを介した犯罪に巻き込まれるおそれがあることは否めない。しかし、周りの大多数の子がスマホを持ち始める中学生になって、これを我慢させるのはいかがなものか。
ルールを設ける上で、何かを「禁止」することは一番よくない決め方である。SNSでヘイト発言が多いからといって「ヘイト禁止」と言って何が解決するだろう。スマホに起因する問題は多くあるが、禁止によってそれらのリスクを全面的に解決できるものではない。
「よそはよそ、うちはうち」といい続けた母親が、行き遅れた娘に苦言をいうとそのままの言葉を返されたという笑えない話もある。皆と同じことをさせるのが子どもには大切なのだ。
トピック「ねんちる」vol.152
R君から指定校推薦で法政大学に受かったとの連絡。うれしさと安堵に笑みがこぼれる。
R君は小学生からずっと教えてきた子で、誠実で実直、ひかえめではあるけれど、誰からも信頼されるような子だ。一言で言えば「いいやつ」。
高校は地元のトップ校を勧めたのだけれど、R君は準トップ校の大磯高校に進学した。そういうところも彼らしい。
準トップ校はやはりトップ校に比べると周りの勉強への意識が低いのだけれど、高校生になってもスクールに通い続けて勉強してくれた。
高校3年生になる前に、彼の可能性を考えて、スクールをやめて予備校に通うように親を説得し、R君もそのアドバイスを受け入れてくれた。彼からの報告はそれ以来になる。
勉強は高校に入ってからが大切だと、身をもって示してくれたR君。本当におめでとう。