Nend Community News 2020-7月号 電子版
「今月の言葉」
あなたの悪口を言う人より『あなたの悪口を言っていたよ』と報告してくる人の方があなたに害を与える可能性が高い
───anonymous
トピック「主語の肥大化とBLM問題」
主語が大きい人がいる。自分が納得いかないだけなのに「みんなそう言ってるよ」などと言う。この風潮をネタにしてスクールでは一時「ほら、間違えてますよ。そういうところが良くないんですって。みんな言ってますよ」などと言っては、「…ほう、ではそのみんなとやらを連れてこいや」と返すジョークが流行った。
主語が大きくなると問題はどんどん希薄になっていく。当事者の不在を招き、焦点がぼけてしまうのだ。たとえば授業に集中していない生徒がいたとする。その子をみんなの前で叱ると大勢の前で恥をかかせることになる懸念がある。かといって、クラス全員にしっかり聞くよう注意をしても、その子は自分が叱られたと思わず、真面目な子だけが自分が叱られたものと思って傷つくばかりである。
主語が大きくなることで陳腐化するという問題もある。「日本人は勤勉だ」というと「日本人だけを特別視するのか」といわれる。「アジア人は勤勉だ」としても同様の非難を浴びるだろう。だからといって「人間は勤勉だ」と言うなら、それはもはや言う価値を持たない言葉であろう。
アメリカで黒人男性が現行犯逮捕された際に過度な身体的拘束を受け、まもなく死亡した事件に端を発し、アメリカ全土に広がる暴動から世界的な運動へと発展しているBLM(Black Lives Matter ブラック・ライヴス・マター=直訳で「黒人の生命問題」、日本のニュースでは「黒人の命は大切だ」とも)について十八歳の女性シンガー、ビリーアイリッシュが主語の肥大化について非常にわかりやすい意見を述べている。
〈(BLMについて)あともう一度だって白人が「すべての命が大切だ(ALM=All Live Matter)」と言うのを聞いたら頭がおかしくなりそう。誰もあなたの人生が大切じゃないなんて言ってやしないじゃない。あなたたちのすることといったら、なんだって自分に結びつけることだけ。これはあんたたちの問題じゃないの。あなたたちが困っているわけじゃない。あなたたちは白人というだけで特権があるの。「すべての命が大切だ」っていうならどうして黒人が黒人というだけで殺されなきゃならないの。「黒人の命が大切だ」というスローガンは他の命が大切ではないという意味じゃないわ。それはこの社会が明確に黒人の命を軽視していることをわかってほしいということなの。いい?「黒人の、命の、問題なのよ」
BLM問題については、今年度の中学3年生の夏期講習で英語の問題としてみんなで話し合う予定です。
トピック「ねんちる」vol.149
「割れ窓理論」というのがある。路上に停めてあるきれいな車は誰もいたずらをしようと思わないが、窓が割れている車の場合、コソ泥や犯罪者が金目のものが残っていないか近寄ってきて、ほんの数時間でフレームを残してすべて奪われてしまう。粗末に扱われているものは犯罪を招いてしまうのだ。
ニューヨークの地下鉄ではかつて犯罪が多かったが、落書きを消したところ、犯罪率が劇的に下がったという。
親から大事に扱われていない子どもは、まわりがそのように扱ってよいものと考えるため、犯罪に巻き込まれやすい。
髪がとかされていない。手が汚い。かばんの中身が整理されていない。筆箱の中身がきちんとそろっていない。マスクや水筒が用意されていない。反面、高価なスマホを自慢する。このような子どもをみると悲しくなってくる。子は親の鑑だ。