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しまなみ島走BOOK (改訂版) (宇都宮一成+シクロツーリズムしまなみ)

   

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ゲームでも映画でも旅行でも、何であれ僕は基本的に予習をしない。前もって調べるのはつまらないのだ。最初は何もわからないまま始めてみて「あぁ、こうすればいいってこと!?」などと手探りで学んでいくのが面白い。

以前、友人のおまるくんと二人でスノボを始めようと富士山ふもとの人口ゲレンデ「イエティ」に行ったときのこと。はじめはスノボはスケボーのように、足を板の上に乗せるだけだと思っていた。ビンディングで固定するものとは思わなかったのだ。前足だけを固定して、後ろ足は適当なところに乗せてすべっていたのだが、わずか1mも滑れず、まぁコケるわコケる。スノボって難しいと思っていたが、ふと気がついて後ろ足を固定してみると、あら不思議、先ほどよりも全然滑りやすくなる。遠くで転げまわっているおまるくんに大声で知らせる。
「ねぇーー、足、両方とも固定した方が、すべりやすいでーーー!」

最初はなんだって知らないでやったほうが面白いのだ。そのあとでネットで復習する。ゲームもある程度進めたあとで、進めたところまでをサイトで検索して「ふむ、やはり正しかったか」などと悦に浸ったりする。映画も見終わった後に必ずネットでストーリーを復習する。なんとなく一粒で二度おいしい感覚。

本書は、しまなみ海道について書かれたガイドブックである。
本書の著者の宇都宮さんは、地元でしまなみ海道を訪れるサイクリストたちを支援している非営利法人「シクロツーリズムしまなみ」で活動されているようだ。この3月(2015年)にしまなみ海道を訪れたときには、尾道から今治までサイクリストの荷物を運んでくれる社会実験に取り組んでいて、とてもお世話になった。
写真や図も美しいカラフルな図版でしまなみ海道の良さや、初めて訪れる人へのハウツーをていねいに紹介している。本書でしっかり予習してからしまなみ海道を訪れるのもいいだろう。個人的にはしまなみ海道は走るのにまったく不便がない、サイクリストに優しい場所なので、予習はいらないと思う。僕は復習代わりに本書を使っている。「あぁ、高低差はこんなふうになっていたのね」「こんな名物があったのか。食べてみたかったな」などと、しまなみ海道に思いをはせながら、再び訪れる日を心待ちにしている。

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