ライ麦畑でねころんで
2015/05/07
2010年1月18日にロバート・B・パーカー氏、同28日J・D・サリンジャー氏と僕の好きな作家が立て続けに亡くなりました。
高校生になってアルバイトを始めてある程度お小遣いを自由に使えるようになると、僕は本を買うようになりました。
小学校のころは、夏休みに涼を求めて図書館に行き、クリスティーやハメット、チャンドラーや江戸川乱歩などの推理小説を読んでいたこともあって、本を読むことには抵抗はなかったのですが、趣味にするようになったのは高校生からだと思います。
高校生当時は今よりもっと純粋で様々な悩みを抱えていて、そして途方にくれてもいたので、本を読むことで「良い人間」になれると思ったのでしょう。ともかく、いわゆる名作と呼ばれるものを(読みにくいのをこらえながら、あるいは読みにくいからこそ)読もうとしていたふうに思います。
ヘッセ「車輪の下」、ヘミングウェイ「誰がために鐘はなる」、フィツジェラルド「グレートギャツビー」、ディケンズ「オリヴァア・ツイスト」、スタインベック「エデンの東」、シェイクスピアなどなど。
サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」は、思春期の男の子が主人公で、親や先生は信用できず、友達は見栄っ張りで、この世で唯一信じるに足るものは幼い妹の純粋さだけ、と考える主人公ホールデンに共感し、好きな作家の一人に数えるようになりました。当時の自分の考え方がわかります。
パーカーは代表作でもある「初秋」を最初に偶然手にしたことで、その後何年も読み続けることになりました。
「初秋」は両親の不和の間で自閉症となった少年ポールを、探偵スペンサーが更生させるという自己再生のストーリーです。ポール少年が親から真に自立するために、運動をすること、本を読むこと、音楽を聴くこと、きちんとした身なりをすること、好きなことを見つけることをスペンサーから教わります。高校生であった僕にとって「自分がどういった大人になるべきか」という問いに対する一つの答えとして、何度もボロボロになるまで読み直しました。
僕の青春を彩った二人の偉大な作家がお亡くなりになったことはとても不思議な気持ちです。しかしショックではありません。きっと作品は生き続けているからでしょう。
小中学生のみなさんにとってもお気に入りの作家が見つかればいいなと思います。少しずつ色々な本を手にとってみてください。
(Nend Commnity News 2010-2より再編)
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