素数の話
素数は、中学生の教科書では「1か、その数自身でしかわれない数。ただし1は素数に含まない」と定義されています。「約数が2つの数」と言い換えてもいいです。
2は、1か2でしかわれないため、素数です。
3は、1か3でしかわれないため、素数です。
4は、1か4以外に、別の数2でわれるため、素数ではありません。
このように、1かその数自身でしかわれない数を数え上げていくと、
2, 3, 5, 7, 11, 13, 17, 19, 23, 29, 31, …と続きます。
(語呂で、「兄さん、来ないー(2, 3, 5, 7, 11)、父さん今行く(13, 17, 19)、兄さん肉くさい(23, 29, 31)」と覚えます。いったい兄さんに何が…。)
ある数が素数かどうかを判断するには、1かその数自身とは別に、その数をわることのできる数があるかどうか考えます。
34は、2でわれるため、素数ではありません。
(一の位の数が、2, 4, 6, 8, 0 の場合、2でわれると分かります)
57は、3でわれるため、素数ではありません。
(各位の数の和、57 → 5+7=12 が3の倍数の場合、もとの数は必ず3でわれるのです)
71は、1か71以外にはわることのできる数が存在しないため、素数です。
91は、7でわれるため、素数ではありません。
(7でわれるかどうかを判断する簡便な方法はありません。実際にわれるかどうか確かめるしかないのです)
これが大きい数になると、はたして素数かどうか(=ほかにわれる数があるのかどうか)判断することが困難になります。
3018は、2でわれるため、素数ではありません。
(一の位が8ですから、もちろん2でわれます)
3141は、3でわれるため、素数ではありません。
(3+1+4+1=9となり、3の倍数ですから3でわれます)
3337は、うーん、2でわれないし、3でわれない(3+3+3+7=16)、7でもわれません。11でもわれないし、13でもわれない。参った。これは素数かな?
いいえ、実は3337=47×71なので、47や71でわれるため、素数ではありません。
3337のように、素数と素数をかけあわせたような数だと、わることができる数を探すのは難しい、ということです。
このことを利用したものが、現代のインターネットなどで利用される「パスワード」です。
たとえば、あなたが誰かにメールを送りたいとします。もちろん大切な内容や、はずかしい内容が書いてあるかもしれませんから、誰かに見られるのは困りますね。
メールを送るごとに、お互いにパスワードを決めてもいいのですが、それでは毎回大変になります。
そこであなたと相手でお互いに素数を決めます。
あなたは47という素数、相手は71という素数を決めたとします。これはお互いに相手に知らせる必要はありません。
ここであなたが相手に送るメールは、あなたの持っている素数(47)と、相手の持っている素数(71)をかけあわせた数(47×71=3337)という数字で保護されます。そしてこの数をわり算できた人だけが、メールを読むことができるのです。
あなたは、自分の数字(47)で3337をわれますから、メールを読むことができます。相手は相手の持っている数字(71)で3337をわれますから、相手もまたメールを読むことができます。そして、他のひとは、3337をわれる数を見つけることが非常に困難なため、メールの内容を読むことができません。これが、パスワードの原理です。
(「3337を自分の数47でわったら、相手のパスワード71が知れてしまうじゃないか」と考えた人、なかなかするどいですね。それでは、間にコンピュータが自動的に素数を1個追加する、というのはどうでしょう。自分の素数(47)×コンピュータの自動的に決めた素数(23)×相手の素数(71)=76751で保護するのです。より強固な保護になりますね)
素数というものが、こういったことにも使われているというのはとても興味深いことですね。
素数については「暗号解読(上)(下)」(サイモン・シン/新潮文庫)により深くわかりやすく書かれています。中学生や高校生でも読みやすく書いてあるので、手にとってみてください。
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