Nend Community News 2017-8月号 電子版
2019/10/08
「今月の言葉」
“これまでの自分が正しかったかは、これからの自分しだい”
────anonymous
トピック「思い込みの力」
狂人の真似とて大路を走らば、即(すなわ)ち狂人なり。悪人の真似とて人を殺さば、悪人なり。驥(き)を学ぶは驥の類(たぐ)ひ、舜(しゅん)を学ぶは舜の徒(ともがら)なり。偽りても賢を学ばんを、賢といふべし。
「狂った人の真似」と言って国道を走れば、そのまま狂人になる。「悪党の真似」と言って人を殺せば、ただの悪党だ。良い馬は、良い馬の真似をして駿馬になる。聖人を真似れば聖人の仲間入りが出来る。冗談でも賢人の道を進めば、もはや賢人と呼んでも過言ではない。
(徒然草・吉田兼好著・吾妻利秋訳)
自分はできると思い込み、そのように振舞うことで、人はできるようになるものです。
医者の子どもが医者になりやすい理由は、そうなることが自然だと周りも本人も思い込んでいることによります。小さい頃から「あなたはできる」と言われて育った子は、他よりもできるようになります。
この逆もあり、「おまえはなんてできないんだ」と言われて育った子は、「自分はできない」という思い込みの呪縛から逃れられず、何事にも消極的になりがちです。
成績を3つあげよう。体重を5キロ減らそう。部活動でレギュラーになろう。
これらについて「無理だ」という子は、心の中でもう「やりたくない」と思っているのです。自分の行動に自分でブレーキをかけ、(ほら、やっぱり無理だったじゃないか)とできない自分を納得させているだけなのです。
自分はできる。
たとえ周りが無理だといっても、自分だけはできると信じる。
こう思い込んで行動できる子が目標を達成できる子です。そして目標を達成することで、さらに自分はできるんだという自信が生まれ、次の行動につながっていくのです。
―― 天才とは、蝶を追っていつのまにか山頂に登っている少年である(ジョン・スタインベック)
確かに苦しいことを苦とも思わずに乗り越えることができるのは天才の資質です。
しかし自分には特別な才能はないと認めたうえで、それでも自分にはできるんだと信じて努力できることもまた、天才の資質といえるでしょう。
トピック「ねんちる」vol.114
以前、僕は大手の塾で講師をしていたことがある。そのときの上司にTという先生がいた。T先生はかなりいい加減で適当な性格だったけれど、どこか憎めない雰囲気を持っていた。
あるとき僕が仕事で何かミスをして落ち込んでいたとき、T先生が言った。
「人間、たまには下を向いて歩く日があっていいよ。上ばかり見ているとつまづくからさ」
何かいいことを言ったようにT先生は満足気な表情を浮かべたけれど、唐突で意味がわからない。僕は内心(なんだ、そりゃ)とあきれたものだ。
しかし不思議とこの言葉が残っていて、たまに落ち込むことがあると、(たまには下を向いて歩くか)と気持ちを切り替えたりもできる。
僕はがちがちの理系脳で、時に「正論で人を殴る」と言われがちなので、こういういい加減な人には少しあこがれるのだ。