Nend Community News 2025-11月号 電子版
「今月の短歌」
煙草いりますか、先輩、まだカロリーメイト食って生きてるんすか
───千種創一
トピック「子どもをほめるには」
ほめるということは難しいことです。
教えることを生業にしている私でも、注意したり叱ったりは容易にできても、ほめることが素直にできないことがあります。いつも従順で言われたとおりにする子どもであれば、「すごいじゃん」「えらいね」「いつもありがとうね」と心から言えるのですが、普段から生返事で言うことを聞かない子どもには「え、本当にやったの」「めずらしいじゃん」のように疑いや、皮肉、嫌味をこめた物言いになってしまうことがあります。ここでほめたら子どもが勘違いをするというより、むしろ自分が負けを認めたように感じるのかもしれません。
行動心理学では、ある行動への注目が多いと、その行動が増えるとことが知られています。反対に、ある行動への注目が少ないとその行動は減っていきます。SNSで自分のポストに「いいね」がつくとうれしくなってポストを繰り返すのも注目と結果の関係です。ですから、よい行動に注目し、その行動をほめてあげることは十分に意味があることです(反対に、不適切な行動については注目せずに、計画的に無視することが大切です)。しかし、日常ではささいな良い行動は流されがちです。例えば、「学校から帰ったら水筒を出すこと」という取り決めは、ちゃんと出しても注目されずほめられないため、子どもの良い行動は減っていってしまいます。
ほめるタイミングは、行動の直後がベストです。言葉や笑顔で伝えることのほか、何かを許可したり、物を与えるなど、子どもがハッピーな気持ちになることを考えてあげましょう。また、ほめる際は「25%ルール」といって、指示または目標の25%が達成された時点でほめてあげてください。小さなことでも指示が通り始めたら(やり始めたら)すぐにほめるということです。子どもが文句をいいながらも指示に従い始めたら、文句をいうことには触れず、行動に移っていることをほめてあげましょう。
最後に、ほめることを子どもの行動を操作する目的で使わないようにしましょう。子どもをその気にさせよう、やる気をおこさせよう、コントロールしようという大人の都合が透けて見える場合、子どもは敏感にこれを感じとっています。「ほめてもうまくいかない」そんなときは、誰のためにほめているか振り返ってみてください。
「ねんちる」第213段
先日、駅前で食事をしたときに、10年前に教えていたS君に会いました。当時高校生だったS君は、勉強は苦手だけどいつも周りを笑わせ、人に好かれるタイプの生徒でした。今は大学生で、塾のバイトをしながら小学校の先生を目指しているそうです。彼は僕が彼のことを覚えていたことをとても驚いていました。
「だって一年間しか教わっていないんですよ」
「君だって、今まで教えた生徒はみんな覚えているだろう?」と僕が言うと、
「本当だ。そうですね」とそこで初めて気づいたような顔をしました。
僕は自分が中学生だったときの記憶はあまりありません。今僕が教えている子どもたちも、きっと塾に通っているこのときのことを思い出せないでしょう。でも、君たちを見守る大人は、僕も含めて、今の君たちのことを忘れません。面白い発言で笑わせてくれたことを。成績が上がって喜んでくれたことを。
(Nend Community News 2011年8月号 ねんちるNo.43より改定のうえ再掲)