Nend Community News 2025-7月号 電子版
「今月の短歌」
むこうでもいっしょだろうかぼくたちが間違い側の絵であるとして
───斉藤君
トピック「自分の気持ちを言葉にしよう」
子どもたちは授業中に様々な表情を見せます。中には質問に答えられなかったときに、涙を流す子もいます。また、休み時間が少し短くなったり、宿題がいつもよりも多く出されたときに、いらいらして大きな音を立てたり、ため息や舌打ち、もっと直接的にふてくされた態度をとる子もいます。
これらは自分の気持ちを言葉にするということが十分に身についていないために起こることです。
赤ちゃんは、おなかがすいた、おしっこがしたい、服の肌触りが悪い、あるいはさみしいといったことを言葉にすることができませんから、泣いたり、ぐずったりという行動をとります。就学前の子どもが自分の要求がかなえられないときにかんしゃくを起こすのは、不愉快で居心地が悪い自分の感情がどういう感情かわからず、言語化できないため、これをいらだちと不機嫌な態度で外部に示すのです。
このようなときに、親や周囲の人たちから、「おなかがすいているんだね」「ごめんね、さみしかったね」「おうちで寝てたかったんだね」のように言葉にしてもらうことで、子どもは(ぼくはいま、かなしいんだ)のように自分の感情を認識することができるようになります。同時に、相手に自分の感情を理解してもらったということが、安心や満足につながります。発達にともない、子どもたちは自分が今どのように感じているか、感情を言語化できるようになり、これを制御できるようになります。
先にのべたお子さんも、勉強を通して語彙を増やし、社会集団にもまれることで、だんだんと自分の感情を理解し、コントロールすることができるようになるのです。
ところで、大人でも不機嫌さで相手をコントロールしようとする人がいます。いらいらしたり、大きな音をたてたりすることで相手に自分の要求を通そうとするのは、赤ちゃんや低年齢の子どもと同じです。たとえばあなた自身が他人にきつくあたっていることを自覚したときには、(私は今、余裕がなくなっていらいらしている)と認識し、態度ではなく言葉で自分の感情をコントロールしましょう。
いらいらや、腹立たしさ、不愉快さの裏には、自分が理解されていないという悲しみや寂しさの感情が隠れています。自分の中の「小さな子ども」を自分の言葉でなぐさめてあげることが大切だといえるでしょう。
「ねんちる」第209段
先日、近くのスーパーで「ねんどの先生ですよね。覚えていますか」と声を掛けられる。Hちゃんとお母さんでした。本当に久しぶり。
Hちゃんをお預かりしていたのはもう16年も前になる。とても人懐っこい子で成績は真ん中よりちょっと下くらい。勉強では不器用な面もあって、分からなすぎて泣いたり落ち込んだりする場面もよくあった。人から「(文句や叱責を)言われやすい子」っているけれど、Hちゃんはまさにそういうタイプで、中学・高校ではバレー部で顧問や先輩からひたすら打たれ続けたと聞いている。それでも持ち前のおおらかさと明るさで部活動をまっとうした。もともと子ども好きということもあって、学生時代から学童でアルバイトをし、今は保育士として働いているそうだ。
Hちゃんは当時と変わらない童顔で、なんだか時間が止まったように感じたよ。