進学塾nend

Nend Community News 2024-9月号 電子版

   

「今月の言葉」

さっさとやってさっさと失敗してさっさともう一回やる事です。

───anonymous

トピック「批判的な精神を養おう」

 私が学生のとき、課題でレポートを提出したところ、次のように言われたことがあります。

「とてもよくまとまっていますし、文章も上手ですが、調べたことをまとめただけになっています。レポートを書く際には『批判的精神』が必要です。ただ調べた物事をうのみにして書き写すのではなく、自分の視点で批判的に物事を捉え直すことがレポートを書くことの目的です」

 レポートを課題にする先生は多くても、『レポートを書くというのはどういうことか』をこれほど端的に教えてくれた先生はいなかったため、この言葉はよく覚えています。

 批判的精神というのは、「なぜそうなるのだろう」「本当にそうなのか」「ちがった考えはないのだろうか」と物事を本質から捉え直すということです。世間で言われていること(例えば『少子高齢化はよくない』など)をそのままレポートに書いて提出したとして、あなたがそれを書く意味はどこにあるのでしょうか。
(もっとも、中学校くらいまでは『レポートらしき体裁の文章を書く訓練』という意味はあるかもしれませんが)

 このことは勉強全般にあてはまります。スクールでテスト前の補習を行ったとき、問題を解いて丸つけをし、間違え直しをしてもらうとよくわかります。
 勉強のできる子は、間違えた問題を検討しなおし、どこで自分がひっかかったか、それが計算であればどのように計算すると答えにたどり着くのか、用語であれば、その用語の定義は何だったか、何と何を取り違えたのかを確認し、「だからか」「そういうことね」と一つひとつに納得をしています。
 反対に勉強が苦手な子は、答えをただ眺めているか、正答を赤ペンで書き写すにとどまっています。どうして間違えたのか、どうしてこのような答えになるのかということに疑問をもたないため、間違えた地点から前に進めず、成長を得られていないのです。

 『批判的』という言葉は悪いイメージがありますが、けっして物事を斜に構えて見ることや、言いがかりをつけるということではありません。「どうしてそうなるのだろう」と疑問をもって物事を見て、自分自身で主体的にこれを解き明かそうという姿勢のことをいいます。
 中学生、高校生のみなさんには、ぜひこの批判的な姿勢を身につけてほしいと思います。

「ねんちる」第199段

 今年も中学3年生の夏期講習が終わりました。
 講習ではスクールのオリジナルの教材である理科と社会の「板書ノート」を配り、復習を行っています。これはノートの体裁をとった冊子で、中に自分で要点をまとめたり、書き込んでいったりするものです。毎年多くの子どもたちが「入試ですごく活用した」といってくれています。
 この「板書ノート」で思い出すのはRちゃんです。県内の中堅校を目指して一生懸命がんばっていましたが、入試の最初の科目で得意科目でもある英語の試験でひどく緊張してしまい、答案用紙はほぼ白紙になってしまったそうです。入試当日、自己採点のためにスクールに来てくれたRちゃんはずっと泣いていました。お母さんがおっしゃるにはRちゃんは毎晩必死に勉強し、「板書ノート」をお守りのように抱いて寝落ちしていたそうです。
 今年もまた受験が始まります。

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