Nend Community News 2022-2月号 電子版
「今月の言葉」
人って、うっかりだれかの希望を叶えたくなるんだけど、ホントにやるべきことは、自分自身が希望になることなんです。
───anonymous
トピック「問題解決のしかたとトートロジー」
「トートロジー」とは、ある事柄を述べるのに、同じ語あるいは同義語、類語を用いる手法です。「雨の日は天気が悪い」とか「だめと決まっているからだめ」といったものです。
論理学では、トートロジーは「常に真である論理式」を意味し、式で表すとA=Aとなるものです。両辺が等しいので、内容としてはもちろん正しいのですが、説明としては何の意味もありません。ですからトートロジーによる説明は本来避けるべきものです。
2019年9月にニューヨークで開催された「国連気候行動サミット」で、菅内閣の環境大臣であった小泉進次郎氏が「今のままではいけないと思います。だからこそ、日本は今のままではいけないと思っている」と発言し話題になりました。あまりに見事なトートロジーではないでしょうか。
私たちも子どもに対して「ちゃんと勉強しないから成績が悪いの。高校行きたかったらちゃんと勉強しなさい」のようなことを言っていないでしょうか。確かに正しいことではありますが、これもある意味トートロジーであり、問題解決には意味をなしません。
ところで、「xとyの和が6」であるとき
x+y=6…①
という式が成り立ちます。
xとyの値を求めるには、連立方程式としてもうひとつ式が必要になります。
そこで、「yは6からxをひいた差」として
y=6-x…②
という式を用意したとします。
するとどうでしょう。②式を①式に代入して、
x+(6-x)=6
∴ 6=6
となり、この連立方程式の解は得られません。②の式は①の式をただ別のことばで言い換えたに過ぎないからです。これは数学におけるトートロジーであり、この連立方程式を解くには、例えば「xはyの2倍に等しい」などの別の要素が必要です。
言い換えると、トートロジーとは「問題解決のための要素が不足している(または別の要素に気づいてない)にも関わらず、結論ありきで物事を進めようとするときに起こる無意味な論理」といえます。
子どもたちが勉強しないとき、「勉強しないから勉強しない」ではなく、なぜ勉強をしないのか、どこに問題があるのかを探る必要があります。
勉強嫌いの子どもに対して、ある先生が子どもの筆圧が強いことに気づき、優しい力で持つように指導したことで、勉強嫌いを克服させたそうです。筆圧が強いことで手が疲れやすくなり、勉強がいやになることをこの先生は知っていたそうです。
トピック「ねんちる」vol.168
Y君から通っていた専門学校の卒業が決まったとの電話。春から社会人になるという。わざわざ報告してくれるなんてうれしい。
Y君は明るくて真面目で、思いやりのある野球少年だった。勉強はどちらかというと苦手だけど、一生懸命こつこつ取り組むタイプ。中3になって突然友達のR君と一緒にスクールをやめると言ったときは驚いたけど、そのあと二人でまた戻ってきた。
「やっぱり先生の教え方がよかったと思いました」中学生らしい衝動も、それを反省して素直に口にできるところも好ましく思えたものだ。
高3になって「AO試験のエントリーシート作りを手伝ってほしい」とスクールに顔を見せY君。もちろんいいとも。
その後、医療系の専門学校に進学したY君。面倒見が良くて情に厚い彼だから、きっとうまくやるだろう。おめでとう。