Nend Community News 2021-4月号 電子版
「今月の言葉」
いい人には三種類しかない。
都合のいい人、調子のいい人、どうでもいい人。
───秋吉久美子(女優)
トピック「勉強をしなさいという前に」
(事例1)福岡の小学校で、子どもたちが給食が終わった後の片づけをちゃんとせず、先生が「食器さんが泣いている」などと心の教育をしたが全く解決しなかった。しかしある先生が子どもたちの動線が悪いのではないかと気づいて、トレーや食器、残り物を片付ける場所と配置を見直したところ、うまくいくようになったという。
(事例2)ある食育の先生が次のようなことを言っていました。「変な姿勢で食べている子どもに『姿勢よくして!』って言うのは簡単だけど違うんです。変な姿勢で食べている時は、椅子の高さや堅さ、テーブルの位置を見直すほうが先。子どもに対して失礼な物言いで叱らないでください」
子どもが勉強にやる気をみせないとき、いくら言って聞かせても一向に変化がないとき、どのようにしたらよいかという問いに対する1つの答えが先の2例には示されているように思います。
子どもに勉強するように言っても聞かない場合、次のような原因が考えられます。
①当人の部屋と机が片付いておらず、勉強できる場所がない。
②当人の勉強机に教科書や参考書、問題集、ペン立て、デスクライトなど勉強をうながすものが揃っていない。
③当人の部屋が他の兄弟と共用で、部屋にいること自体、本人にとって居心地がよくない。
④リビングで勉強するようにさせているが、当人以外の家族は同じ空間でテレビを見たりスマホを触ったりしている。
他にもありそうです。これらはすべて「勉強しなさい」という前に解決されるべき問題ではないでしょうか。
先日高校受験を終えられたお子さんと話していて、入試勉強がとてもはかどるようになった一番のものとして、百均で買った「ペン立て」を挙げられていました。そのお子さんはまず勉強を始める前に筆箱の中から必要なものをペン立てに並べるそうです。勉強中に筆箱の中をあさらなくてよいという些細なことが勉強をしやすくしていたのでしょうか。これから勉強を始めるぞという儀式的な意味もあるのかもしれません。
勉強を始めやすいように、机に向かうことが自然になるように、まず環境を見直すことを考えてみてはいかがでしょうか。
トピック「ねんちる」vol.158
Y君は引っ込み思案だけど真面目で、頑張り屋さん。僕を慕ってくれていた。お母さんはきれいな人で、Y君の自慢だった。
中1の冬に卓球部に入り直したY君を、部活の友人たちが手取り足取り面倒みてくれた。
中2になってY君は、部活でそれまで色々教えてくれた子と衝突するようになった。
Y君はいらいらするようになり、誰も信用することができず孤立した。スクールで僕が「角度の問題なんてパズルみたいなもんじゃないか。よく考えて」と言ったことに腹を立て、塾にはもう行かないと家で暴れた。僕は母さんと何時間もY君の将来を話し合ったけれど、お母さんは「母親しか味方になってやれない」とさびしそうに言った。Y君はスクールを辞めた。
どこで何が間違ったのだろう。
その後Y君は不登校になり、スクールのみんなが卒業する頃Y君の家は空き家になった。