進学塾nend

Nend Community News 2020-1月号 電子版

   

「今月の言葉」

いい子は天国へ行ける。悪い子はどこへだって行ける。

───メイ・ウエスト(米・女優)

トピック「ごほうびをあげる」

新年のお慶びを申し上げます。
子どもの頃、母にファミコンを買ってもらいました。ずっと欲しかったのですが、私はあまりわがままを言わない無口な子だったので、親にねだったりはしなかったと思います。ある時、母が車に私を乗せ、何も言わずにおもちゃ屋に連れて行って、ファミコンを買ってくれました。代わりに母に約束させられました。
「これからは何でも素直に、思うことを伝えてちょうだい」

ある実験で、幼稚園児たちにマーカーペンを使って遊んでもらうとき、Aチームの子どもには「上手にかけたらごほうびをあげる」と伝えておき、絵を描いたあとにごほうびをあげた。Bチームの子どもには、先にごほうびのことは伝えず、絵を描いたあとにごほうびをあげた。Cチームの子どもにはごほうびをあげなかった。結果、Aチームの子は、他のチームより長い時間絵を描いて遊んだそうです。
ところが数週間後、同じ子たちに再びマーカーペンで遊んでもらったところ、今度はごほうびをあげないことにしたら、Bチーム、Cチームの子たちは前回同様、絵を描いて遊んだのに対し、Aチームの子は絵を描くことにまるで興味を示さなくなったそうです。(心理学者・リチャード・E・ニスベットたちの実験)

お母さま方も、お子さんに対し、「次のテストの結果がよかったら、スマホを買ってあげる」ということがあるかもしれません。その時その瞬間はがんばるかもしれませんが、次の試験の時にはどうでしょう。勉強という自分の行為に見返りを期待するようになり、ごほうびがないとなると、やる気を示さなくなることが考えられます。

子どもたちの一生懸命ながんばりに対し、エサで釣るということは、子どもたちのがんばりそのものを否定することにもなりかねません。もしごほうびを与えるのであれば、日ごろの努力に対して、サプライズで与えてみてはどうでしょう。きっと子どもたちは喜んでくれるはずです。

もし私の母が、テストの点数と引き換えにファミコンを買い与えてくれていたとしたら、私はきっとこの日のことを忘れてしまっていたでしょう。こうやって何も要求されなかったからこそ、私は母を喜ばせようと勉強に打ち込んだのです。

 

トピック「ねんちる」vol.143

昔、平塚江南を受験した2人の子がいました。
Eちゃんは真面目でいつも明るくて、でも臆病で自分に自信がない子。Hちゃんは無口で何でも卒なくこなす、自分に自信があふれている感じの子。2人とも合格圏内だったのですが、運悪く不合格になってしまいました。Eちゃんの涙に暮れる姿を見て、僕は努力が報われないときもあることを知りました。Hちゃんは憮然とした様子で声をかけられることを拒む雰囲気を漂わせていました。EちゃんもHちゃんも同じ滑り止めの私立に行ったのですが、Hちゃんは、「私が入りたかったのはこんな学校じゃない」と、5月には学校を辞めてしまいました。後のことは、僕は知りません。

飛んでいったたんぽぽの綿毛が、どこに落ちて芽を出すのかは分かりません。二人がそれぞれの土地で小さな花を咲かせてくれたらと願うのです。

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