※コロナ対応について
4/7(火)現在、国から緊急事態宣言が出されています。
東京都では休業要請を行う業種を4/10(金)に発表する方向で調整を始めましたが、東京都以外の神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の各県は民間に対する休業要請を見送る方針となりました。当スクールでは4/13(月)より感染リスクを避けるため、クラスを少人数に分けて特別な授業を行います。詳しくは授業の際にお伝えいたします。

進学塾nend

個別指導というもの

   

ここでは「個別指導」塾というものについて述べていきたいと思います。
これまでにも何度か「個別指導」についてはお話ししようと思ったのですが、批判的なことを口にするのははばかられることや、誤解を生じかねないと考え、つつしんできたのですが、やはりどこかでちゃんとお話をするべきだと考えました。
あくまでも一般論としての「個別指導」についてのお話ですから、特定の団体を貶める意図はないことをご理解ください。


塾には大きく分けると、「個別指導」と「集団授業」の2つのタイプがあります。
世間では「個別指導」については「マンツーマンで個人のレベルに応じて適切に指導してもらえる」というイメージが先行しているのですが、実際の「個別指導」塾は世間で思われているようなイメージとは異なるところが多いのです。

はじめに、集団授業を行う塾では、講師は職人的な色合いが強い職業です。
集団の前で授業をするというのはパワーが要りますし、授業準備も入念に行わなければなりません。
しっかりと指導するためには、子どもたちに共感することも、子どもたちを叱ることも共にできなくてはいけません。
どこまで教えてどこまで教えないかという判断(理解しやすくするために、教えすぎないことも大切です)、口調や板書の字の大きさと量、説明をする際のことば選び、覚えさせ方(用語を用語として覚えさせるのではなく、関連する事項とリンクさせて、いかに覚えやすくするか)など、優秀といわれる講師になるためにはさまざまな技術が求められます。そのため講師として使えるレベルに育成するには少なくとも3年が必要ですし、優秀な講師を確保することは塾としては容易なことではありません。

「個別指導」塾というのは、スタッフ確保の難しさから、アルバイトでも授業が成立するようにした塾の形態です。
講師が1人ないし2人の子どもを指導する場合には、授業準備は必要ではありません。黒板を使うことなく、テキストを子どもたちの前に広げ、指をさして説明するといった方法が取れますし、解答冊子を横に広げそれを見ながら指導することもできるからです。
私は授業準備に毎日2時間以上はかけています(20年以上この仕事をしていますから、授業内容それ自体の準備は簡単にすみますが、子どもの理解度に応じて授業プリントを作成したり、その日の授業後に出す宿題を準備します)が、大学生のアルバイトにそれらを要求することはできません。
しかし「個別指導」というかたちであれば、相手はたった1人の子どもですから、授業準備なしで5分前に出社してすぐに指導するということが可能になります。
スタッフ育成にかかる手間やコストを省くことができるため、多教室展開が容易になるという塾側の思惑と、「個別指導」というイメージからのニーズが一致して、「個別指導」塾というものが生まれたのです。

授業形式自体にも大きな違いがあります。
集団授業の塾では基本的に学校よりも進度の早い「先行型」の授業を行います。学校よりも早く内容を履修することで、学校での授業の理解がよくなることと、時間的な余裕をつくることで、試験までに何度も同じ範囲を繰り返すことができるからです。
これとは対照的に、「個別指導」塾では学校よりも遅い「復習型」になります。
「個別指導」では、一人の講師につき、個別で学習をしている複数人の生徒の質問に答えるというかたち(講師1:生徒2~3。場合によって講師1:生徒3~5。生徒の数が3人を超えると、指導は困難になります)をとっています。新しい単元の内容を一から説明する(「導入」といいます)と、一人の生徒に大幅な時間をとられてしまうため、他の生徒をその間待たせてしまうことになります(「個別指導」の場合、通っている生徒は学年も進度もバラバラなので、まとめて説明するというかたちがとれません)。
そのため、学校の授業であらかじめ受けた既習内容を解いてもらっている間に他の子の質問に答えるというかたちをとらざるをえないのです。
また、集団授業の塾では専任の講師が授業を行うことになりますが、「個別指導」塾の場合にはアルバイトの講師が行います(通常1教室に責任者は1人で、おもに授業ではなくアルバイトの管理や保護者対応など教室運営が仕事になります)。そのためアルバイトのシフトによっては、つねに同じ講師が同じ子どもを担当するというということがかなわない場合もあります。
さらに、集団授業の塾では月ごとに決められた曜日・時間に通うため、「月謝」というかたちで決まった金額を設定している場合がほとんどですが、「個別指導」塾の場合には「1コマ60分ないし90分」という時間枠を売っているため、塾によっては試験前や入試前には「コマ数」を増やすことを求められ、思わぬ出費となることもあります。

ここまでで述べたように、「個別指導」というのは「一人ひとりの子どもをしっかりと見てあげてたい」という考えから生まれたものではなく、「いかにコストを下げて教室を運営するか」という考えから生まれたものです。もちろん、崇高な理念をもって教室を運営されている「個別指導」の塾もあります。「個別指導」を運営されている教室の中には、アルバイトと指導案を一緒に考えて教え方をレクチャーするなど、事前の授業準備をしっかりと施しているところもあります。しかし全国にフランチャイズ展開しているような「個別指導」塾であっても、講師に対する指導法を確立しているところは極めて少ないため、教室ごと、あるいはアルバイト講師ごとの当たり外れが多いのが現状です。
すぐれた講師に1対1というかたちで指導してもらうという、理想的な「個別指導」を実践した場合にはコストが非常にかかるのが当然ですから、「個別指導」という塾を考えていらっしゃる場合には、以上の点を十分認識されたうえでご検討ください。

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